遺伝とがん
遺伝性のがんとは?
日本人にとって身近な病気「がん」
日本人の2人に1人は一生のうちに一度は
がんを発症すると言われています。
がんの発症は「遺伝子の変異」によって起こる
がんは遺伝子の変異が積み重なることによって起こる病気です。
遺伝子の変異には、「生まれもった遺伝子の特徴」の場合と「生まれた後に起こった遺伝子の変異」の場合があります。
生まれもった遺伝子の特徴
全ての細胞に生まれもった遺伝子の特徴があります。
親から子へと受け継がれます。
受精などの際に突然に遺伝子の特徴が生じる場合もあります。
生まれた後に起こった遺伝子の変異
“がん”の組織で見られます。
“生まれた後に起こった遺伝子の変異”は親から子へは受け継がれません。
がんを発症された方の約10%は「遺伝性腫瘍(いでんせいしゅよう)」
がんを発症された方の約10%は生まれもった遺伝子の特徴(病的バリアント)が、がんの発症のしやすさに関係していることが知られています。このようながんを「遺伝性腫瘍(いでんせいしゅよう)」と呼びます。
遺伝性でないがん
約90%
遺伝性のがん
約10%
「遺伝性腫瘍」の特徴
1~3 のうち、いずれかに当てはまる場合は、遺伝性腫瘍の可能性があります。
ただし、これらの項目に当てはまらない場合でも、遺伝性腫瘍と診断されることがあります。
比較的若い年齢でがんと診断された
1
血縁者(あなたと血のつながった方)に同じ種類のがんと診断された方が複数人いる
2
(例)本人:乳がん、母:乳がん、叔母:乳がん、卵巣がん
(例)
お一人の方が複数のがんと診断されている
Aさん:40歳で乳がん、58歳で卵巣がん
Bさん:47歳で大腸がん、60歳で子宮体がんなど
3
"がん家系" といわれる「家族性腫瘍(かぞくせいしゅよう)」
「がん家系」という言葉を見聞きすることがありますが、どのような家系が「がん家系」なのかという定義はありません。医学的には、ある家系において、原因に関わらずがん患者さんが多い場合を「家族性腫瘍(かぞくせいしゅよう)」と呼びます。
「家族性腫瘍」と「遺伝性腫瘍」の関係
生活を共にしている家族は生活習慣が似ていることも多いため、家系の中にがん患者さんが多くても、必ずしも生まれもった遺伝子の特徴(病的バリアント)があるとは限りません。
また、家系にがんを発症している人がいなくても、がんになりやすい遺伝子の特徴を生まれつきもっている場合もあります。
つまり、家族性腫瘍の原因は遺伝、環境、加齢などによるものが考えられますが、
遺伝性腫瘍の原因は、生まれもった遺伝子の特徴(病的バリアント)が主に影響しています。
がんは、すべての人にとって身近な病気。
がんの研究が進んだことで、遺伝性腫瘍と診断される人も増えてきています。
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