遺伝性腫瘍症候群の検査と診断
遺伝学的検査の種類
遺伝学的検査には種類があり、それぞれに特徴があります。
ここでは、多遺伝子パネル検査、特定の遺伝性腫瘍症候群の遺伝学的検査(SSGT)、特定部位のみの遺伝学的検査(シングルサイト検査)につい て紹介します。
1. 多遺伝子パネル検査(MGPT)
複数の遺伝性腫瘍症候群に関連する遺伝子をまとめて調べる検査のことを「多遺伝子パネル検査:multigene panel testing:MGPT」と言います。
一度に複数の遺伝子を検査することにより、効率的に診断に辿り着くことや、複数の遺伝子に病的バリアント(がんを発症しやすい遺伝子の特徴)がある場合でも一度に診断できるメリットがあります。

多遺伝子パネル検査 (MGPT) の特徴
●一つの遺伝子の遺伝学的検査では見つけることができなかった遺伝子の変異を同時に検出します。
●がんの種類や家族歴から推定されなかった遺伝子が検出される場合があります。
●単独の遺伝子を何回も調べるより、費用が安く、時間の短縮となります。
●民間保険で給付対象となることがあります。
●循環器疾患や難聴など、がん以外の疾患に対してもMGPTが用いられています。
2. 特定の遺伝性腫瘍症候群の遺伝学的検査(SSGT)
がん種や家族歴などから予測される遺伝子を調べる検査のことを「特定の遺伝性腫瘍症候群の遺伝学的検査 syndrome specific genetic testing:SSGT」と言います。
SSGTとして行われる検査の例を示します。

※現在、公的医療保険で検査が可能な遺伝性腫瘍症候群に関連する遺伝子は、
★印のBRCA1,BRCA2,RET,MEN1,RB1,TSC1,TSC2,NF1,NF2のみです。(2024年6月現在)
3. 特定部位のみの遺伝学的検査(シングルサイト検査)
ある遺伝子の特定のバリアントがあるかどうかのみを調べる検査で、シングルサイト検査(single site analysis)とも呼ばれます。
特定部位のみの遺伝学的検査(シングルサイト検査)が用いられる時
●血縁者に既に遺伝性腫瘍症候群と診断された方がいる場合
●がん遺伝子パネル検査*を受けた方が特定の部位に、
生まれ持った病的バリアント(がんを発症しやすい遺伝子の特徴)があることが疑われる場合
*“がん組織由来”の遺伝子を調べる検査
例えば、お母さんがBRCA1遺伝子の、3,400番目の部分に病的バリアント(がんを発症しやすい遺伝子の特徴)がある場合、そのバリアントを受け継いでいるかどうか調べるためには、3,400番目を調べることになります。

遺伝学的検査の種類の一覧
多遺伝子パネル検査(MGPT)
●どんな検査?
がん発症リスクに関連する複数の遺伝子を一度に調べる検査
●調べる対象
数十〜数百個の遺伝子:複数の遺伝性腫瘍症候群の原因遺伝子
●費用
現時点では保険未収載
特定の遺伝性腫瘍症候群の遺伝学的検査(SSGT)
●どんな検査?
がん種や家族歴などから予測される遺伝子を調べる検査
●調べる対象
1〜数個の遺伝子:一つの遺伝性腫瘍症候群の原因遺伝子
●費用
一部は保険適用
特定部位のみの遺伝学的検査(シングルサイト検査)
●どんな検査?
ある遺伝子の特定のバリアントの有無を調べる検査
●調べる対象
遺伝子の特定のバリアント
●費用
現時点では保険未収載
遺伝学的検査には種類があり、それぞれに特徴があります。
遺伝性腫瘍症候群の検査と診断





